はじめに
「生前に財産をもらったけど、相続時に問題になるの?」「兄弟の一人だけが多額の贈与を受けていたら、不公平じゃないの?」
相続トラブルでよく話題になるのが「生前贈与」と「特別受益」の問題です。
この記事では、沖縄の相続に詳しい弁護士が、生前贈与が相続にどのような影響を与えるのか、特別受益として扱われる条件、遺産分割に与える影響、注意点についてわかりやすく解説します。
目次
- 1 生前贈与とは?相続との関係
- 2 「特別受益」とは?生前贈与との違い
- 3 特別受益の制度趣旨
- 4 特別受益がある場合の相続分の計算方法
- 5 特別受益が相続分を超えるときは返還が必要?
- 6 生前贈与や遺贈を受けた相続人は相続分が減る?
- 7 特別受益になりやすい生前贈与とは?
- 8 生前贈与と生命保険
- 9 生前贈与と持ち戻し免除の意思表示
- 10 生前贈与と土地・建物
- 11 生前贈与と預貯金・金銭の扱い
- まとめ
1 生前贈与とは?相続との関係
生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に財産を他人(多くは家族)に無償で与える行為を指します。
しかし、相続の場面では、この贈与が「特別受益」として扱われるかどうかが重要になります。
2 「特別受益」とは?生前贈与との違い
生前贈与のうち、相続財産の前渡しと評価されるものが「特別受益」に該当します。
特別受益があると、遺産分割の際にその分を考慮して相続分が調整されます(民法903条)。
生前贈与が「特別受益」であると認められる場合にだけ、生前被相続人から相続人が特別な受益を受けた分だけ相続分の前渡しとして、計算上贈与を相続財産に持ち戻して(加算して)相続分を算定します(民法903条)。
例えば、生前に被相続人から毎月少額のお小遣いを受け取っていた場合は、生前贈与に該当することはあっても、相続財産の前渡しとまでは評価されず、特別受益とは認められないのが一般的です。
したがって、このような贈与は遺産分割における相続分の算定には影響を与えません。
一方で、まとまった金額や高額な財産を生前に贈与されていた場合には、その贈与が特別受益に該当すると判断されることがあり、その場合、受け取った相続人の相続分はその分減額されることになります。
3 特別受益の制度趣旨
民法は、相続人の中に著しく多額の贈与を受けている者がいると、他の相続人との間で不公平が生じると考えています。
特別受益制度は、こうした不公平を是正するために設けられたものです。
4 特別受益がある場合の相続分の計算方法
特別受益がある場合、相続人ごとの具体的な取り分は、次のような手順で計算されます。
まず、相続開始時の財産に、特別受益にあたる贈与の金額を加えて「みなし相続財産」を算出します(借金などの債務はここでは考慮しません)。
その後、各相続人の法定相続分に応じて、全体からどれだけの取り分になるかを算定し、特別受益を受けた人については、そこから贈与分を差し引いた金額が実際の相続分(具体的相続分)となります。
<計算例>
相続財産:3,000万円
特別受益:600万円(Bさんが生前に受け取った)
相続人:B・C・Dの3人(各法定相続分は1/3ずつ)
- みなし相続財産:3,000万円 + 600万円 = 3,600万円
- 各相続人の一応の取り分:3,600万円 × 1/3 = 1,200万円
- Bさんの具体的相続分:1,200万円 − 600万円 = 600万円
- Cさん・Dさんの具体的相続分:各1,200万円
このように、Bさんが生前に特別受益として財産を受け取っていた場合、その分が差し引かれ、他の相続人との公平が図られる仕組みとなっています。
5 特別受益が相続分を超えるときは返還が必要?
ある相続人が、生前に受け取った贈与が自身の法定相続分をはるかに超えていた場合、他の相続人から「その超過分を返してほしい」と求めることはできるのでしょうか。
(1) 多額の生前贈与がある場合の考え方
たとえば、被相続人の死亡時に残された財産が4,000万円の土地のみで、相続人が兄弟3人(A・B・C)だったとします。
このうちAさんが生前にすでに8,000万円相当の土地をもらっていたとすると、みなし相続財産は以下のようになります。
<計算例>
相続財産:4,000万円(被相続人の死亡時点で残された土地)
特別受益:8,000万円(Bさんが生前に受け取った土地)
相続人:B・C・Dの3人(各法定相続分は1/3ずつ)
- みなし相続財産:4,000万円 + 8,000万円 = 1億2,000万円
- 各相続人の一応の取り分:1億2,000万円 × 1/3 = 4,000万円
- Bさんの具体的相続分:4,000万円 − 8,000万円 = −4,000万円(※既に取り分を超える贈与を受けているため、相続財産の取得ゼロ)
- 残された相続財産4,000万円の配分:Cさん・Dさんが各2,000万円ずつ取得
Aさんはすでに、自身の法定相続分を大きく上回る特別受益を生前に受け取っているため、今回の相続財産(4,000万円)からは何も取得せず、残された財産はBさんとCさんの2人で均等に分けることになります。
このように、具体的相続分がマイナスとなる場合でも、他の相続人に超過分を返還する義務は発生しません。その分、相続財産は他の相続人が多く取得することになります。
これは、多くの場合、贈与が相続の何年も前に行われており、その時点で被相続人(多くは親)が将来の相続分との精算を前提としていなかった可能性が高いためです。
また、贈与の背景には、稼業の承継や生活支援など、特定の事情に基づいた被相続人の判断があることも少なくありません。
したがって、特別受益が相続分を超えていたとしても、その超過分について返還義務はないというのが、相続実務上の基本的な考え方です。
(2) 生前贈与が遺留分を侵害している場合はどうなる?
それでは、生前贈与があまりにも多額で他の相続人の遺留分を侵害する場合はどうでしょうか。
この場合、たとえ被相続人が「持ち戻し免除」の意思表示をしていたとしても、遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」を行うことで、侵害された相当額を取り戻すことが可能です。
つまり、相続分を超えた贈与には返還義務がなくても、遺留分を侵害していれば請求の対象となるという点が大きな違いです。
関連記事:遺留分とは?|沖縄の相続に強い弁護士がわかりやすく解説
6 生前贈与や遺贈を受けた相続人は相続分が減る?
相続人の中に、生前贈与を受けていた人や、遺言によって多くの財産を譲り受けた人がいる場合、相続財産の取り分(具体的相続分)が減る可能性があります。
これは、「特別受益」という制度によって調整される仕組みです。
民法第903条第1項(特別受益者の相続分)
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
ただし、すべての生前贈与が特別受益になるわけではありません。
贈与の内容や目的、金額、時期などによって、相続分に影響するかどうかは異なります。
では、実際にどのような贈与や遺言による財産の移動が「特別受益」として扱われるのでしょうか。
主なケースを見ていきましょう。
(1) 遺贈
遺贈とは、遺言によって財産を無償で譲り渡すことをいいます。
遺贈を受けた相続人は、その分が特別受益とみなされ、相続時の取り分から差し引かれることになります。
<事例>
被相続人Aが亡くなり、相続人として妻Wと子ども3人(長男B・次男C・三男D)がいたとします。
遺言で「長男Bに1,000万円相当の土地を相続させる」と指定されており、それ以外の財産として5,000万円の預金がある場合、全体の相続財産は以下のように算定されます。
土地(遺贈):1,000万円
預金:5,000万円
みなし相続財産:6,000万円
<法定相続分に基づく一応の取り分>
- 妻W:6,000万円 × 1/2 = 3,000万円
- 長男B・二男C・三男D:各6,000万円 × 1/2 × 1/3 = 1,000万円
- 長男B(遺贈を受けた):1,000万円(本来の相続分)− 1,000万円(遺贈)= 0円
つまり、長男Bはすでに土地を受け取っているため、それ以上の相続財産は受け取らないことになります。
(2) 生前贈与
生前贈与も、内容によっては特別受益と評価され、相続分に影響します。
特に遺産分割調停では、生前贈与が「相続財産の前渡し」であったかどうかが争点になることが多く、注意が必要です。
ただし、すべての生前贈与が特別受益とされるわけではありません。
贈与の趣旨や金額、被相続人の意図、贈与時の事情などをもとに総合的に判断されます。
※重要:生前贈与 ≠ 特別受益
生前贈与があったからといって、必ずしも特別受益になるとは限りません。
このあとのセクションでは、「どのような種類の生前贈与が特別受益に該当しやすいか」について、さらに具体的に解説していきます。
7 特別受益になりやすい生前贈与とは?
(1) 婚姻や養子縁組のための贈与
結婚や養子縁組に際して贈与された持参金や支度金などは、特別受益に該当することが多いとされています。
- 特別受益とされやすい例:持参金、住宅取得資金、結婚準備のための多額の援助など
- 特別受益とされにくい例:結納金や挙式費用など、一時的かつ少額な援助(社会通念上の範囲)
(2) 教育資金(学費など)
学費に関する生前贈与は、一般的に被相続人(親)の扶養義務の範囲内で行われる支出とされ、原則として特別受益には該当しにくいと考えられています。
ただし、学費の種類や金額、家庭内の状況によっては判断が分かれることもあります。
以下に、代表的な例を挙げて見ていきましょう。
・高校までの学費(授業料・入学金など)
扶養義務の一部と評価されやすく、特別受益には該当しないと判断されるのが一般的です。
もっとも、被相続人の経済力や、他の相続人との教育格差が極端な場合は、個別に検討が必要です。
・大学・専門学校・留学費用
将来の生活基盤を築くための支出であり、「生計の資本」とみなされる余地があることから、特別受益に該当するとする見解もあります。
一方で、これも親の扶養義務の延長と考える立場もあり、裁判例でも評価が分かれることがあります。
【参考判例】大阪高等裁判所 平成19年12月6日判決
「学費の支出は、通常、親の扶養義務の一環として行われるものであり、特別の事情がない限り、特別受益には該当しない」
(3)その他生計の資本としての贈与
居住用の不動産やその取得費用、事業資金、土地・建物、借地権など、生活の基盤となるような財産の贈与は、「生計の資本」とみなされ、特別受益に該当する可能性が高い類型とされています。
このような贈与を受けた相続人については、その受益分が相続分から控除され、他の相続人とのバランスが調整されるのが原則です。
ただし、「生計の資本」とされるかどうかは、贈与の目的や金額、相続人間の関係性などを踏まえて個別に判断されるため、一律には決められません。
本記事では、これらの贈与については後述の別セクションで、具体例を挙げながら詳しく解説します。
該当しそうな贈与がある方は、ぜひ続きもご覧ください。
8 生前贈与と生命保険
被相続人の死亡により、特定の相続人が生命保険金を受け取った場合、「その分、遺産相続の取り分が減るのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、生命保険金は原則として特別受益にはあたらず、相続財産とは別に扱われます。
つまり、他の相続人と比べて多く保険金を受け取ったとしても、そのことを理由に相続分が減るわけではありません。
ただし、例外もあります。
生命保険金の金額が極めて大きく、他の相続人との間で著しく不公平が生じていると評価されるような特段の事情がある場合には、民法903条の趣旨を類推適用して、保険金が特別受益に準じた扱いとされる可能性があります。
その場合には、死亡保険金も実質的に遺産に持ち戻して計算することになります。
とはいえ、このような例外的判断が認められるには、裁判所に「不公平が著しい」と評価されるだけの事情を立証する必要があります。
そのため、生命保険金の扱いについて争いがある場合や納得できない点がある場合は、相続問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
9 生前贈与と持ち戻し免除の意思表示
通常、生前に多額の財産を贈与された相続人は、その分を相続財産の前渡し(=特別受益)とみなされ、遺産分割における相続分が減るのが原則です。
しかしながら、被相続人が特定の相続人に対して「その贈与分を相続分に含めなくてよい」と考えていた場合には、その意向が尊重され、相続分を減らさずに済むことがあります。
これを「持ち戻し免除の意思表示」といいます。
(1) 持ち戻し免除の意思表示とは?
持ち戻し免除の意思表示とは、被相続人が「生前に贈与した分について、相続時に他の相続人と調整しなくてよい」と考えていたことを示す意思の表明です。
この意思表示は、明確に言葉で伝える明示の場合だけでなく、状況から判断される黙示でも構いません(民法903条但書)。
(2) 「黙示の持ち戻し免除」が認められるケース
実際には、贈与時点で被相続人が「特別受益」や「持ち戻し免除」を意識していることはほとんどなく、明示的な意思表示は稀です。そのため、実務上は「黙示の意思表示」があったかどうかが争点となることが多くあります。
以下のような事情があると、黙示の持ち戻し免除が認められる可能性があります。
- 稼業の承継など特別な事情がある場合
例:長男に家業を継がせるために農地や設備を贈与した場合など - 贈与の見返りに被相続人が利益を受けていた場合
例:介護や生活支援などの対価的な意味合いがあるとき - 受贈者が相続分以上の援助を必要とする事情があった場合
例:病気・障がいなどで生計を立てることが困難だった相続人への支援
ただし、「どのような事情があれば黙示の持ち戻し免除と認められるのか」は非常に判断が難しく、相続実務でも争点になりやすい部分です。
実際には法的根拠や過去の裁判例を踏まえた主張立証が必要になるため、法律の専門知識が不可欠です。
もし、他の相続人から「特別受益だ」と主張された場合や、逆に「これは持ち戻し免除にあたるのでは?」と感じる場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
(3) 遺贈の場合の持ち戻し免除
なお、遺贈(遺言による財産の無償譲渡)の場合には、そもそも要式行為であるため、持ち戻し免除の意思表示も遺言書の中で明示されている必要があると考えられています。
黙示による免除は基本的に認められない点に注意が必要です。
10 生前贈与と土地・建物
土地や建物といった不動産が生前に贈与されていた場合、または相続人の一人が被相続人所有の不動産を無償で使用していた場合、それらは相続財産の分け方(具体的相続分)に影響を与える可能性があります。
ここでは、典型的なケースごとに、特別受益との関係を解説します。
(1) 居住用の土地・建物が生前に贈与された場合
被相続人から生前に居住用の土地や建物の贈与を受けていた場合、それは原則として「特別受益」に該当します。
このような不動産は「生計の資本」と評価されるため、遺産分割の際には相続分の前渡しとして扱われ、具体的な相続分からその価値分が差し引かれることになります。
- 例:兄弟の一人が親名義の土地付き住宅を贈与されていた場合、その人の相続分はその分減らされる可能性が高い。
(2) 居住用不動産の購入資金を贈与された場合
不動産そのものではなく、居住用の土地・建物の取得資金を生前に受け取っていた場合も同様です。
この場合も、生計の基盤にあたる贈与とされ、特別受益に該当する可能性が高く、相続分に影響を与えます。
(3) 被相続人の建物を無償で使用していた場合
次に、相続人が被相続人の所有する建物に無償で居住していたケースについて見ていきます。
このような「居住の利益」が特別受益と認められるかは、同居の状況やその理由によって異なります。
① 被相続人と同居していた場合
相続人が被相続人と同じ建物で生活していた場合でも、その居住が被相続人の希望によるものや、介護・生活支援の目的である場合、単なる「占有補助者」として評価され、特別受益とは見なされないのが一般的です。
- 例:被相続人が「一緒に住んでほしい」と希望し、家事や介護をしていたような場合
② 単独で建物を使用していた場合(同居していない)
相続人が被相続人と同居せずに、親の所有する建物を無償で使用していた場合もあります。
このようなケースでは、形式上は利益を受けているように見えますが、親が賃料を請求する意図をもっていないことが通常であり、裁判例でも特別受益にあたらないか、持ち戻し免除の意思が認められることが多いとされています。
11 生前贈与と預貯金・金銭の扱い
生前に被相続人から預貯金や現金などの金銭を贈与された場合、それが相続分にどう影響するのかは非常に重要なポイントです。
実際、こうした金銭の贈与が原因で遺産分割協議や調停が揉めるケースは少なくありません。
ここでは、金銭の生前贈与や借金の肩代わりが「特別受益」として取り扱われるかどうかについて、判断基準や実務上の考え方を整理して解説します。
(1) 金銭(預貯金など)の生前贈与と特別受益
預貯金や現金などの金銭が生前に贈与されていた場合、それが「生計の資本」として相続財産の前渡しと評価されれば、特別受益に該当し、相続分が調整される可能性があります。
ただし、すべての金銭贈与が特別受益になるわけではありません。
<特別受益に当たるかの判断要素>
- 贈与の金額:数万円〜数十万円程度の少額で、日常的な生活費や一時的な援助に使われたものは、特別受益とされないことが多いです。
- 贈与の趣旨:相続の前渡し的性質があるか、生活の基盤に関わるかどうかが重視されます。
【参考例】
長期間にわたり繰り返し贈与され、総額が高額になった場合は、一定額を超えた部分についてのみ特別受益と判断されることがあります。
(例:東京家裁平成21年1月30日決定では、10万円以上の贈与を特別受益と判断)
また、お祝い金や病気の子どもへの経済的援助など、親の扶養義務の範囲内と考えられる支出については、特別受益とはみなされないのが一般的です。
また、お祝いの類であるとか、病弱の子に対する金銭的な援助は、親としての扶養義務の範囲内の履行であり、特別受益とは考えられていません。
(2) 借金の肩代わりは特別受益になる?
親が子どもの借金を肩代わりして返済した場合、それが特別受益として取り扱われるかどうかも重要な論点です。
この場合の判断ポイントは以下のとおりです。
- 求償権を放棄しているかどうか
親が返済後に子に返済を求めるつもりがなかった(実質的に贈与だった)と判断されれば、特別受益に該当する可能性が高まります。 - 贈与性の有無
単なる援助であれば特別受益として相続分から控除される可能性があり、金額や背景事情が判断材料になります。
多くの場合、親は子どもからの返済を期待していないため、実質的に金銭贈与と同様に扱われ、特別受益と認定されやすいと言えるでしょう。
まとめ
生前贈与や特別受益の問題は、相続をめぐるトラブルの中でも特に誤解や感情的対立を生みやすいテーマです。本記事では、生前贈与が「特別受益」と評価される仕組みや、その判断基準、相続分の計算方法、そして具体的な贈与の類型ごとに、実務の考え方を解説しました。
特別受益制度は、本来相続人間の公平を保つためのものですが、判断は非常に複雑で、贈与の趣旨・時期・金額・関係性など、多くの事情を総合的に見て評価されます。
すべての生前贈与が特別受益に該当するわけではなく、「生活費」や「扶養義務の範囲内の援助」などは対象外とされるのが一般的です。
また、生命保険金のように相続財産に含まれないものでも、金額が過大で著しい不公平が生じている場合には、例外的に特別受益に準じて扱われることもあります。
さらに、被相続人が「持ち戻し免除の意思表示」をしていたと認められる場合には、贈与分を相続分から控除せずに済むケースもありますが、これは非常に判断が難しく、裁判で争われることも多い点に注意が必要です。
こんなときは弁護士にご相談をお勧めします。
- 兄弟の一人だけが多額の贈与を受けていた
- 自分が受け取った不動産や金銭が特別受益にあたるか不安
- 他の相続人と遺産分割で折り合いがつかない
- 保険金の扱いや借金の肩代わりについて主張された・したい
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